1年で3億円販売するお店がある。
しかも1坪
しかも商品は羊羹と最中の2種のみ。
坪単価の売上は日本一と言われるお店「小ざさ」
吉祥寺の現店舗に店を構えて65年になる。
前回に引き続き、ことづくりの視点からブランディングを紐解く。
ことづくりの視点
良い商品の価値をどうやって顧客へ提供するか?
「本物だからできる差別化」「時代を見る目」
売られているのは、「羊羹」と「もなか」のみ。
しかし、「もなか」と「ようかん」が売られるようになったのは1954年(昭和29年)に現在の場所に移転してからだという。創業当時じは、団子などの朝生が売れていた。それを移転を機にスパっと止めて和菓子の究極と言われる「羊羹」をメインにした。
究極の羊羹を研究していたこともあるが、商圏を広げるということも考えていたとのこと。「羊羹」や「もなか」だと日持ちして進物にできるので、武蔵野以外からも買いに来るお客様が増えると当時考えたそう。また贈答品は自分で食べるだけでなく、客層を広げられる商品ということも意識していたそう。
そして立地。現在の立地を確保するために相場よりもかなり多い金額を積んで確保したそうだ。
常に先代社長は時代を読めと現社長の稲垣篤子さんに言っていたそうだ。
「変えるところ変えないところ」
商品づくりはもちろん、仕入れ問屋も変えず育てる。
材料費が上がっても限界まで値上げしない。
従業員でも行列に並ばないとならない。紙包装は変えない。もなかの包装は天然の木材由来の防湿セロファンを使用しいる。一時はポリプロピレンに切り替えたらどうかという業者のススメもあったが頑として変えなかった。
但し、1個販売、3個販売、餡と白餡のミックス販売や手持ち箱等は早くから導入した。
「接客」様々なお店を見て研究
「ありがとうございます」「いらっしゃいませ」も真心を込める。
やたらと声を掛けてはいけない。つま先がちょっと店の方向に向いから声を掛ける。
店を道路より低くつくって寄りやすくする。
ちょっとした隙をつくる。
店の空気を澱ませない。従業員は突っ立っていないで動く。
「地域貢献」
28年前から障害者の受け入れ。しかも補助金を受け取っていない。
「口コミ」
創業者 故 伊神照男氏が1970頃に雑誌に取り上げられてから注目されるようになったようです。その頃から行列ができるようになり、今日まで途絶えない。本物が口コミされると、広告など必要なし。行列がPRになる。
伊神氏は芸術家との親交があり、吉祥寺の「ナナン」というたまり場に出入りしていた。
日本の創作版画の草分け「織田一麿・おだかずま」が包装紙を画く。「山本嘉次郎・やまもとかじろう」映画監督がいまわの際に食べたい、と。文化人から口コミされマスコミに取り上げられ、地域の人が行列し、全国からも買いに来る。
よって
人脈がPR効果を生む(販促)
時代を先取りする予感をつかむ。
変わるところと変えないところ
「父が築いたDNAを受け継ぎ、時代に合わせながら次代につなげていくこと」
それをやり続けられることが
行列ができてもブームで終わらせない。
それが小ざさのことづくりだと思う。